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  • 「思い出のマーニー」を観て〜本当に仲良くなりたい相手と本当に仲良くなるには〜

    予告編も見ず予備知識もまったくない状態で「思い出のマーニー」を観てきた。以下感想を。多少のネタバレはあるかも。

    とてもよかった

    わたしとしては「コクリコ坂から」に似てる清々しさを感じた。じんわりした鳥肌が立つシーンもあった。
    ストーリーとしては、伏線がたくさんあり展開が多少読めたので、さほど驚きはなかったんだけど、かえってそういう潔さが気持ちいい。
    ストーリー展開より、どのようにみせるか。どのように心の機微に触れさせるか。そういう意味では「マレフィセント」もだな。

    マーニーが魅力的

    マーニーがとても素敵。金色のふわふわした髪と、こっちまでがにっこりしてしまいそうになる爽やかな笑顔。
    湿地の広がる夜の海に浮かぶ船の先頭で、タイタニックの女性のポーズで立つ姿がとても綺麗だった。
    アンナとマーニーの庭でのダンスも素敵だった。最近「ボールルームへようこそ」という漫画を読んでるから尚更いいなと思ったのかも。
    アンナが描いたマーニーの絵も、とてもよかった。最後、色付けがされてて、ぐっときたな。

    おじさんおばさん夫婦が理想的!

    療養先のおじさん、おばさんがよかった。
    心配しすぎず、放任しすぎず。好きなだけ遊んでうまいもん食べてたくさん寝ろ!ガハハ!という感じ。
    ちゃんと帰る場所(ホーム)として機能しているところ。
    あんなあっけらかんとした、保護者・夫婦のもとなら、どんな落ち込んだ人でものびのび、悠々と療養できそうだと思った。
    子どもがくよくよしても、失敗しても、いじめられても、悲しいことがあっても、心配しすぎず、追求しすぎず、咎めすぎず、急かさず待ってくれて、すべてを笑って受け止めて、嫌な日もなんてことない日常をの一コマだよって自然と教えてくれるような人たち。

    ポテトチップスをばりばり頬張りながらうひゃひゃとテレビを観る肝っ玉母ちゃんと、そのとなりで、のびのびと不恰好なフクロウの彫刻を楽しそうに掘ったり、日曜大工みたいな好きなことをのびのびとやってる2人をみて育ったら、ああこの世の中もさほど悪いことばかりじゃないんだなと子どもは思えるかもしれない。

    何時までに帰ってきなさい!夜遅くに帰宅すると玄関でウロウロ待ち迎え。「何してたの!?何を考えてるの!?困ってることがあるの!?なんとか言いなさい!ちゃんとしなさい!隣のなんとかちゃんはあんなにああなのに、あなたはどうしてこうなの!すきなことばかりして暮らせるわけじゃないんだから!大人になったらつらいことがたくさんあって我慢しなきゃいけないんだから。これくらいのことでくじけてどうする!お前は弱い子だ。」
    もし自分の両親・保護者がこのおじさんおばさんだったなら…、と映画を観た人の何人かは思うかもしれない。
    この夫婦はたぶん、理想として描かれているんじゃないかとわたしは思った。

    仲良くなりたいときこそ、時間をかけて知る

    うろ覚えだけど、マーニーが確かこういう素敵なことを言ってた。
    「すごく仲良くなりたいから、あなたのことを少しずつ、ゆっくりと知っていきたいの!」
    これは本当にいいなと思った。
    この人いいな!仲良くなりたい!と思ったら、わたしは猛進して質問責めしてしまうから、かえって相手を怯えさせてうまく関係を結べなかった例がいくつもある。これは男女問わず。
    焦ってしまうんだよな。
    でも、ゆっくりと、時間をかけて、ひとつひとつ相手のことを知って、自分のことを知ってもらう。
    タイミングや縁なんかを大事にし、会わない間に相手のことを想う時間が多ければ多いほど熟成し、結果的にいい関係が築けるんだと思う。

    あの人のことをもっと知りたい!
    この感情ってすごく好き!わくわくする!
    普段何してる人なんかな。趣味はなんだろ?どんな食べ物が好きかな。どんな音楽が好きなのかな。どんな人が好きでどんな生き方をしてきたのかな!
    少しずつ、ゆっくり、知りたい。

    実は、今日はスポーツジムのヨガで、同年代くらいの子に思い切って話しかけてみた。
    とても穏やかな可愛らしい女性で、わたしの「仲良くなりたい欲」が暴走しそうになったけど、今日観たマーニーのことばを思い出したので、自分を制し、名前もきかず、また来週のヨガで会いましょうと、さっぱり別れた。

    来週がすごく楽しみになった。ゆっくりとこの気持ちをあたためながら、彼女との関係を大事に築けていけたらいいな。

    その他

    最後のエンドスクロールに、プロデューサー見習い 川上量生 という文字を見かけた時は、クスっときた。

    曲もよかった。とても雰囲気にあってた。

    普段はあまり感想を書かないようにしてる

    小説、漫画、映画などで、これはいいなと思うものをみたら、できるだけ感想やあらすじを書き残さないようにしてる。
    感想を書くと、その時感じたよさが損なわれてしまう感覚がするし、すべてのよさを書ききれなくて、もどかしくなる。
    それに、その時感じたことが、記録に残したことだけになってしまう気がして、もったいないと思ってしまう。
    でも今回、マーニーの感想を書いてるのは、新たな挑戦ってことで。今のところ、さくさく書けて、もどかしさもなくて、すっきりしてる。

    たぶんここにあらすじを書き加えたら、言い表せない気持ちやストーリーが書ききれなくて虚しくなるんだと思う。

    ストーリーもいいけど雰囲気もね

    映画は、ばーん!!どーん!うわあああ!系なものや、血の気が逆流する類のものより、じわじわと震えたつような、そんな感覚を味わえるものが好き。日常系、ほのぼの系か?といわれれば、ちょっと違う気がする。
    小説も、大どんでん返しのストーリーが読みたいわけではない(漫画は別かもな)。
    たとえば、今ぱっと思い浮かんだのが、森博嗣の「少し変わった子あります」とか「喜嶋先生の静かな世界」とか。小川洋子の「猫を抱いて象と泳ぐ」とか。

    その時の自分の心境や状況で、ストーリーや感じられるものが変わってくるような、自分次第で変えられるような、そういうストーリーのものが好き。

    猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)
    喜嶋先生の静かな世界 The Silent World of Dr.Kishima (講談社文庫)
    少し変わった子あります (文春文庫)