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  • 嫌がられないことに慣れていく

    「箱入り息子の恋」を観た。 そこをそういう風にもってっちゃうか?みたいな興ざめする展開が2箇所ほどあったけど、わたしにとってはおもしろい映画だった。

    理由はどう考えても、主人公が恋人にそっくりだから。逆にこの主人公を恋人と重ねて観ない方がおかしいだろうと思うほど、恋人と主人公が似てた。気持ち悪さとか、口下手なところとか。 この主人公にもっとリアリティを持たせたのが恋人かもしれない。

    30うん年間、女性と接する経験がなかった主人公が、初めて女性が自分のことを嫌がらない反応をとったとき。初めて女性に腕を掴まれたとき。初めて女性の手を握ったとき。初めてキスをしたとき。はじめて裸で抱き合ったとき。 その都度の反応に、既視感があった。

    まだ付き合う前、恋人はわたしと体のどこかが触れ合っただけで尋常じゃない汗と震え、それから激しい動揺を見せた。 30うん年間、誰とも付き合ったことがなく、それどころか女性とほとんど話したことすらない。 特に最後の2,3年は、恋人はフリーランスだったため、普段はほとんど人と会話をすることがなかったときだったから、なおさらの緊張だったのかも。

    恋人は、だんだん自分が相手の手に触れても嫌がられないという安心感を覚えてくれた。手を触れること、肩を寄せ合うこと、抱き合うこと、キスをすること。 ひとつひとつの行いごとに、恋人は泣いた。 「こんなに泣くこと、今まではなかったんだけどな」と恥ずかしそうに泣き笑う姿。 わたしは笑ったり、困ったりしながら、落ち着くのを待ってた。

    主人公はまだよく話せる方だと思った。恋人はわたしに「好き」と伝えるまでに2時間かかったからな。肌寒い10月の22〜0時、公園で2人で無言で座る。警察の方にもう遅いから帰りな!といわれて、えいっと好きですと言われてえいっと付き合いましょう!と言った。 結局、終電を逃して、2人で満喫に行った。恋人はかすかに震えてたし、緊張でか体が冷たかった。 初めて手をつないで、狭い部屋で少し眠り、始発で別れた。 帰りのメールで「今でも信じられないよ。ふわふわしてる」みたいなメールがきた。

    この映画は、昔のそういう細かな恋人の動作や表情、立ち居振る舞いを思い出させてくれた。ちょっとそういう意味で涙ぐんだ。

    あとベッドシーンが綺麗だった。