甘え上手なミカという子について
仲のいい友だちに、現役スッチーのミカという子がいる。
本当にかわいい。見た目はもちろん、なんかちっこくて素直できゃぴきゃぴしてる。
高校からの友だちで定期的に会う人は、ミカしかおらんかも。高校時代は全然グループがちがったけど、なぜか2人でよく遊んだ。周りからも、なぜあの組み合わせ?と不思議がられた。
おしゃれのためならお金に糸目をつけない。
美容に貪欲。
雑誌ドマーニを愛してやまぬ。
でもイケメン大好きだからか男運があまりない。
旅行大好き!
白いワンピース大好き!
たのしいことが、だーいすき!!
ぶっ飛んだ子。
国際線デビューしてから、あの子はパリやらシンガポールやらロサンゼルスやらを、飛びまわってる。
いきいきしてる。生命力に満ちあふれてる。見てるこっちが気持ちいい。爽快です。まぶしいです。引きこもり無職女からすると、チカチカしてめまいがする。
現地での写真を見せてもらったり、フライトの話をきくだけで、わたしは思う存分たのしめる。
高校のときからモテモテで、学年で1番かっこいいバレー部の男の子と付き合ったり、わたしが6年越しに好きだった人と付き合ったりしてた。ミカなら仕方ないなあと思った。
わたしはいつもミカに振り回されてた。大学の前期試験合格発表のときも、そうだった。わたしは受かって、ミカは落ちた。わたしは喜んでジャンプしたいほどだったのに、わんわん泣いて悲しみにくれるミカと一緒にいたおかげで、先生や友だちからの祝福のことばをうまく受け止められなかった。本当にまいった。
斜め下から、じーっとうらめしい顔で見てくる、ミカ。怖い子!恐ろしい子!
もしわたしが男の子だったら、ミカにぐいんぐいん振り回されて、吹っ飛んでたかもな。友だちでよかった。あの子の遠心力の勢いには、かなわない。
ミカは国内線で九州にもばんばん行ってるだろうから、本場の冷や汁も食べてるだろうに。本当にかわいらしい。
甘え方を知ってるなあ。
そう、甘え方を知ってる!そんでそれがちゃんと自分の強みだと自覚があるからこそ、それを各場面で使いこなしてる。その″あざとさ″すらが、かわいい。
自分には到底使いこなせないものばかり持ってる。すごい。潔くて気持ちがいい。
当時は、どれだけこの子になりたかったことか。みんなから愛されてかわいがられて。上手に甘えて。
どんどんわたしが欲しかったものを難なく手に入れてくようで、激しく嫉妬もした。
けど今は、わたしってのもありだなーとと思ってる。ミカが下がったんじゃなくて、相対的に自分の位置づけが上がったっぽい。吹っ切れたからこそ今、仲良くいられるんだと思う。
ただ、
「人生一度きりやから!努力すれば願いは叶うから!全力で楽しもな!世界中のみんな、だーいすき!!」と、素で言ってのけるあの子には、絶対にかなわない。