桃がうまい

ここんとこよく眠れない。前みたいに壮大なストーリー性のある、夢か現実かわからないくらい深いどっぷりとした怖い夢は見なくなったけど、いわゆるいやな夢というか後味の悪い夢を、一日に何度もみることが2,3日続いている。

いやな夢を続けてみると、眠りの浅さも関係してか、かなりくたびれるので、今朝は何もやる気が起きない。顔も洗わずひたすらぼーっとしてた。そんなところにシャワーを浴びてさっぱりした恋人がやってきたので、なにか朝ごはん的なもの（糖分補給的な飲み物）を準備しようと思って（自分のことでは立ち上がれないけど他人のためならなぜか頑張れる）、冷蔵庫を開けると桃があった。

昨日、うまそうなでかい桃が2個300円で売られていたので、思わず買ってたんだった。今年初の桃。いつも恋人はグレープフルーツジュースに炭酸を割ったものを、一口しか飲めないほど朝が弱いんだけど、とりあえず「桃たべる？」ときいてみたら「…たべる」とのこと。珍しい。

桃は手でむけそうで、なかなかむけない。りんごをむくように包丁で皮をむくと、身がくっついちゃうからもったいない。一番いいやり方は包丁でぺろぺろ〜とむいていくこと。これが一番身を無駄にせずきれいに要領よくむける。1年ぶりに桃をむく感触が心地よかった。

恋人「久しぶりに朝に固形物をたべるな」とかいいながら桃をぱくつく。「うん、うまい！」。わたしはたべるつもりなかったんだけど、あまりにも彼がおいしそうに食べるから思わず、ぱく。めちゃめちゃおいしい。甘いのにさっぱりしてて、みずみずしいからつるんと胃に入る。最後にほんのり渋さが残るのもいい。もくもくと食す。そしたらいつの間にか、今日もがんばるかーという気持ちになってた。いやな夢の後味とかやる気のなさみたいなのがほとんどなくなってた。桃すごい。すごいわ。300円でこんな良い一日のスタートが切れるなら、とても安いな。恋人も今日は朝からシャキッと仕事できたんちゃうかな。きっとそうだよ。

今晩もまたいやな夢をみるかもしれないけど、明日の朝はもう1個の桃が冷蔵庫で待機してるから、いやな夢もこわくない気がする。

包丁研ぎは恋人担当。よく切れる包丁はきもちよい。

（砥石の向きは横でなくて縦です。間違えた）